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AKLO x JAY'ED -Official Interview-

UPDATE2017.09.06

 

AKLO×JAY’EDの1st EP「Sorry... come back later」がリリースされる。過去に双方の作品に参加し、「All I Did Is Grind feat. AKLO」「サーフィン feat. JAY'ED」「YOUR LANE feat. JAY'ED」「サッカー feat. JAY'ED」などフィーチャリング楽曲を制作したり、度々ライブで共演したりと、かねてから音楽的盟友であった2人。このたび作品単位でタッグを組んだ真意とは? また、旧知のプロデューサー・BACHLOGICと“3人きり”で進められた曲作り合宿のエピソード、本プロジェクトを通して学んだこと、お互いの尊敬する点などを、AKLOとJAY’EDの2人にたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 鳴田麻未 撮影 /小浪次郎

 

 

■ラップと歌の垣根がないものを

 

 

―この2人でEPをリリースすることになった経緯は?

 

JAY'ED トラックメーカーのBACHLOGICさんがブレーンになって、もともと共演曲は多かったんです。そんな中、去年8月にAKLOくんのツアーの赤坂BLITZ公演に参加させてもらったことが、今回のプロジェクトを考える最初のきっかけになりました。これまでの僕らのコラボ曲を続けてやってみたら、「30分くらいのひとつのショーケースみたいだね」なんて話になって。

 

AKLO 「もう俺らでアルバムできちゃうよー」みたいな話を軽くしたよね。

 

JAY'ED その後、僕は事務所移籍とかを経て、自分のアルバム(「Here I Stand」)の制作に入ったんですけど、数年間音楽活動から離れてたので、パワーを溜めてたぶん、もっといろんなタイプの自分を出したくて。そのひとつに、もっとヒップホップ的なマインドでも音楽を作ってみたいっていう欲求がありました。それで僕からAKLOくんとBLくんを呼んで「こういうのやりたいんですよね」って話し合いをしました。去年の10月くらいかな。

 

AKLO ちょうど俺も、さらにメロディアスな音楽をやりたいと思ってた。けど自分ではなかなかできない部分もあって、歌唱力が優れてるJAY'EDの力が必要だったんで。自分たちの今やりたい音楽を一緒に作るっていう意味で、作る前からうまくいきそうだぞっていう手応えがありました。

 

 

―自分にないものを補い合える存在だったと。JAY’EDさんが持ちかけた「こういうのやりたい」とは具体的にどういうものだったんですか?

 

JAY’ED ラップと歌の垣根があまりないもの、ですかね。その垣根がなくなっていく流れが、このプロジェクトでもっと世の中に浸透したらいいなと思うんです。ほかのシンガーに「こういう歌のアプローチもあるんだな」って思ってもらいたい。個人的には、自分のオリジナルアルバムと並行して作ってたから“ここでしかできないJAY'ED”を見せることがテーマでした。

 

 

―最近はシンガーもラップするし、ラッパーも歌う。ラップと歌がシームレスになってきているのはシーンの潮流でもありますね。

 

JAY'ED 海外のR&Bシンガーと言われてる人たちも、よくメロディなしで普通にライミングしてるんですよね。ラッパー感覚で詞を作ってる人も多いと思う。僕も新しい作り方をもっと追求したいなと思って。

 

AKLO 俺も、普段から基本歌詞に注目して曲を聴いてるけど、シンガーも歌うラッパーもめちゃくちゃ韻踏んでるなーと思う。ただ単に踏んでるだけじゃなくて、ワードプレイっていうか面白いを言葉遊びをしてるんだよね。JAY'EDはそういうのもやったら絶対面白いだろうなと思ってた。

 

 

 

 

■キーワードは90’s、“工場スタイル”の合宿

 

 

―AKLOさん、JAY'EDさん、BACHLOGICさんの3人で、BLさんの自宅兼スタジオに寝泊まりして合宿状態で音源を作っていったそうで。

 

AKLO まずは各々好きな曲を聴かせ合いました。実際にセッションする前に「どういうことやる?」ってコミュニケーションの時間を長めに取ったことが、すごくよかったと思う。

 

 

―そこですり合わせたこと、つまりEPのコンセプトはどういうものでしたか?

 

AKLO 話し合いは、90’sのR&Bの世界観やカッコよさについて語り合う会でもあったんです。90’sR&Bのフレーバーを現代に描写して、自分たちなりの形に落とし込みたいっていうバイブスでそろいました。それは、俺のソロでBLくんと作ってるときにはないアプローチだから新鮮でしたね。

 

JAY'ED 僕ら同い年なんですけど、子供の頃、海外に住んでるとき無邪気に聴いてた音楽が80年代から90年代前半のブラックミュージックで。僕の親戚のお兄ちゃんの部屋は、まさに「Different Man」のミュージックビデオみたいな感じで、ニュージャックスウィングのレコードがあったり、エリックB&ラキムのポスターが貼ってあったり、ブラックカルチャーがあふれてて、自分は「これがカッコいいんだ」って眺めてたんですね。
そんな憧れのお兄ちゃんだったオールドスクール像を、今回のビデオで自分が演じてるのは面白かったですね。僕たちにとってはノスタルジックだけど、これが今の若いリスナーには新鮮に映るのかなとも。「Different Man」の歌入れのときも、どことなく90’sを意識していました。

 

 

―全6曲すべて「作詞:AKLO / 作曲:BACHLOGIC、JAY'ED / 編曲:BACHLOGIC」というクレジットですが、どんなふうに作り進めていったんですか?

 

 

AKLO 工場スタイルだよね。

 

JAY'ED BLくんは早起きで、僕らが朝起きたときにはもうトラックができてる状態だったんですよ。で、そこに僕がメロディを入れて、AKLOくんが詞を入れて、僕が歌入れをする。その間にBLくんは新しく1曲上げてきて……。すごい回転率でした。

 

 

―皆さん普段からそのくらいサクサク作るほうですか?

 

AKLO 自分のオリジナル曲だったらそんなに早くないです。だけどどんどん「これやって」って回ってくるし、一度めっちゃ早く詞を出したら2人のテンションがめちゃくちゃ上がって次の曲がさらに良くなったから、この流れは止めたくない、期待に応えたいって気持ちが出てきて、自分にいいプレッシャーをかけながら書いていきました。BLくんもいつもはここまで曲作るの早くないし、全員普段より明らかに早いペースだった。リアルタイムで1日に何曲もできていく感じがフレッシュで楽しかったんですよね。

 

JAY'ED そうだね。大人が絡まずに、僕ら3人だけで作ってたのも大きいと思う。

 

AKLO この合宿がすべてだから、アートワークで描かれてるのも合宿所なんです。作業を終えて誰もいないところ。「Sorry...come back later」=「俺ら、ちょっと休憩中」みたいな意味で。

 

JAY'ED 「がんばりすぎたから遊びに行くんで、また来てください」っていう。

 

 

―大滝詠一さんの「A LONG VACATION」などでおなじみのイラストレーター・永井博さんが描き下ろしたイラストですね。先行配信の「Different Man」「Ballin’ Out」とEP「Sorry...come back later」のジャケット3種が連なってますが、これは架空の合宿所なんですね。

AKLO 豪華な合宿所で、居住者はたぶん外にあるプールで遊んでるんですよ。

 

JAY'ED こんな合宿所ホントにあったらいいよね……(笑)。

 

 

 

 

■AKLO、JAY’EDのアーティストマインド

 

 

―リード曲「Different Man」は、テレビ東京系ドラマ「デッドストック ~未知への挑戦~」のオープニングテーマとしてオンエアされています。

AKLO もともと自分たちで「Different Man」っていう曲を作っていたところに、途中でドラマの話が来て。ドラマのプロデューサーからは「主人公が新たな自分を見つけ出していくストーリーだから、『Different Man』ってタイトル自体がすごく合ってる」と。そこからブラッシュアップさせて、ドラマの内容ともちょっとかけつつ完成させました。

 

 

―「今までとは違うぜ 比べ物にもなんねぇ」と、それまでの自分との決別を歌ったフックが強烈ですね。

 

AKLO JAY'EDくんとの会話の中でいっぱいヒントを得てできました。JAY'EDくんが主人公みたいなものです。

 

JAY'ED 僕自身、新たな環境に入って、もう一度アーティストとして始動するからには、絶対自分が面白いと思うことをやりたくて。音楽から離れてたとき、実を言えば自信がなくて落ち込んでいた時期でもあったんですよね。でもそこからパワーアップして帰ってきたぞっていう熱い思いを2人に話して、その上でこの歌詞をもらったからスッと入ってきたんです。
「なんねぇ」とか「違うぜ」とか、今まで僕の曲では絶対にない口調で。正直、最初は自分のキャラじゃないんじゃないかって少しだけ抵抗もあったんですけど、そこ破らなかったら今までと変わんないな、逆に“Different Man”じゃないなと思ったんですね。この強い語気をキレイにしてしまうのは違うんじゃないかなって。だから自分も勝負するつもりで、この表現に賭けようと思ったんですよね。

 

 

―AKLOさんの詞は近年、ただ自分を大きく見せるセルフボースティングではなく、信念の強さ、発言への責任感、覚悟みたいなものが増してるんじゃないかと感じられて。

 

AKLO そうかも。年々思うことはありますね。活動期間が長くなるにつれて、自分の中で大切なことがクリアになってきたから。今回の中で一番メッセージ性が強い「Be What You Are」には特にそういうところが出てると思います。

 

 

―この曲では「Be What You Are(あるがままであれ)」「誰に何を言われても 守り抜きな自分のZone」というメッセージを、カリビアンテイストのトラックに乗せて伝えてますね。

 

AKLO これはJAY’EDくんに対してというより、自分の周りにいる人たちに伝えたいメッセージ。自分が経験してきた中でひとつの答えでもあります。

 

 

―キャリアの初期と比べて作り方は変化してますか?

 

 

AKLO ここがこう違うとは言葉で表現しづらいけど、気持ちがよりクリアになってることは間違いないですね。初期の頃はラッパーになったけどすぐにダメになるかもしれないって不安定な部分もあったけど、歳を重ねていくごとにミュージシャンとしてのライフスタイルが板についてきて、自分の思ってることが具現化できてるという実感もあるので。そういう意味でもっと強い意志でモノが言えるようになりました。
俺は歳的にデビューしたのが遅くて、それまで普通の仕事をしてたんで、あのときいろんなことに感じてた違和感とか反骨心が、自分の歌詞の中で重要なピースで。いつもその頃の自分を思い出しながら、あのときの俺に言えることを考えてるけど、だんだん強くなっていってるんですよね。もっと自信持って昔の自分を叱れるっていうか。

 

JAY'ED 言葉の重みとか、自分のマインドが大事だってことは、僕も年々感じてるな。僕はAKLOくんよりデビューした歳が早かったけど、今回の復帰の前に数年音楽から離れて、離れたからこそ気付けることもあったし、変わりたいなと強く思った。今後歌を続けていく中で、アーティストとしてしっかり自分の思いは伝えたいと思ってます。

 

AKLO それは素晴らしいね。こっからのJAY’EDが楽しみやな。

 

 

 

 

■遠慮も邪念も持ち込まない

 

 

―JAY’EDさんは、メロディメイキングで意識していたことは?

 

JAY'ED BLくんからいただいたトラックに対して感じたものをそのままやっただけなんですけど……ただひとつだけ、このプロジェクトをやる上で決めてたのは、変な邪念を持ち込まないこと。わかりやすくしようとか流行りに乗ろうとか、余計なことは考えず、今この3人だからこそできるもの、みんながカッコいいと納得できるものを作ろうって。つまりはフィールしたことをただ反映させるだけなので、シンプルで簡単でした。

 

AKLO その気持ちはすごい感じた。だって、普通はこのペースで「これどう?」「こんなんどう?」って提示していくのは勇気が要ると思うんですね。なおかつ俺らは「それはダサい」とか「カッコよくない」って率直に言うから。そんな中、JAY’EDはガンガン前のめりだった。作業が早く進んでいったのは、遠慮も邪念もないっていうとこがでかいと思います。

 

JAY'ED 僕から2人に一緒にやろうって声かけた最初の時点で、とにかく感じたままにやろうっていう意識でいないとダメだなと思って。じゃないと自分のソロの延長線みたいになってしまうから。そういうつもりで一緒にやろうと思ったわけじゃない。まさに“Different Man”というか、次の自分を探すために、チャレンジしなきゃって。

 

AKLO このプロジェクト自体、リリースするかどうかも最初は決まってなくて、もし会社的にうまくいかなかったらそれはそれでもうしょうがない。とりあえず作ろうっていうことで始めたからね。

 

JAY'ED 大人の都合とか考えながらやってたらカッコいいものはできないよね。もしこの話がスタッフ同士の話し合いからスタートしてたら、こういう作品にはなってないと思う。

 

 

―今回のプロジェクトを経て、それぞれ今後の活動にフィードバックできそうな部分はありますか?

 

JAY'ED 僕も自分の曲では詞を書くけど、アッパーな曲のときは韻のことを考えるようになったり、ポップなメロディもより作れるようになったりしたかな。良い影響しかないです。

 

AKLO あ、俺もメロディに関しては同じ。俺の曲はラップだけどメロディはあると思うんで。JAY’EDのやり方を間近で見て「こうやってるんだ」って勉強になった部分、俺もマネしようと思った部分はいっぱいありますね。

 

 

 

 

■この3人でしか作れない化学反応が詰まってます

 

―改めて、アーティストとしてお互いの魅力やリスペクトしてるところを教えてください。

 

AKLO 歌に関してはすごい努力家。普段から喉を鍛えたり、トレーニングを欠かさないとこはマジで尊敬してる。あと、俺が「JAY'EDすげーな。俺、歌全然ダメだわ」とかこぼしたとき、テキトーに同調するんじゃなくて「絶対できるようになるよ。練習あるのみだよ」みたいなことを言ってくれるんですよ。つまり、それをやってきた人だなと。
アーティストとしてはめちゃくちゃ柔軟。普段はけっこうメローな人だから、やる気ないんかな?と思うときもあればいきなりスイッチ入ることもあるし、マイペースなんだけど(笑)。

 

JAY'ED 僕はAKLOくんの詞の、英語のチョイスが前からカッコいいなと思ってました。僕もバイリンガルなので日本語と英語を織り交ぜて詞を作ることがあるけど、みんなが聞いたことあるような英語しか出てこなくて。AKLOくんの、カッコいい言葉を乗せるセンスはハンパないなって。
もし海外の人から「日本のヒップホップってどんな人がいるの?」って聞かれたら、やっぱりAKLOくんの名前を出しますね。日本語がわからなくても曲を聴けば絶対カッコいいって言うと思うから。言葉がわかればさらにヤバい。そういう人と近い距離で一緒に音楽を作れたのは、ホントに恵まれてるなと思います。……AKLOくんもけっこうメローな人ですよ(笑)。

 

AKLO そうね(笑)。怒らない。

 

JAY'ED BLくんだけメローじゃない。

 

AKLO うん。「次ー! 早く早く!」って。だからこれ、(共同制作者が)BLくんじゃなかったら完成するのに3年くらいかかってるんじゃない?(笑)

 

 

―ライブも、2人でやると普段とは違うモードで楽しそうですね。

JAY'ED そうそう。普段はお互いソロだから、グループみたいな気分を味わえて新鮮です。「Different Man」と「Ballin' Out」はライブだと2人で踊ってるんですよ。

 

AKLO みんなで信号渡れば怖くない的な部分があって。1人だとできないものも2人だとできちゃう。1人だったら絶対ノーって言うところも「ここダンスでいきましょう」「わかりましたー」ってなるよね(笑)。

 

 

―では最後に、「Sorry... come back later」を受け取るリスナーへメッセージをお願いします。

 

AKLO 3人で音楽的に面白いアプローチがいっぱいできたから、サウンド面で聴き応えのある作品に仕上がったと思ってて。リリック面では「Different Man」とか「Be What You Are」みたいな、自分の内面について考えさせられるような曲もあれば、パーティ度の強い曲も、メッセージ性の高い曲も。少ない曲数でもバリエーション豊かだし、いろんな方向から楽しめる作品だと思います。

 

JAY'ED 「Break It」みたいなロックっぽい曲も入ってるので、ヒップホップとかR&Bが好きな人に限らず、変なフィルターをかけないで純粋にグッドミュージックだと思って聴いてもらえたらうれしいですね。とにかくこの3人でしか作れない化学反応が詰まってます。「Sorry... come back later」って言ってるけど、まったくネガティブな意味ではないので。「また戻ってくるよ、たぶんね」っていう。

 

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